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栓抜きビル、里弄住宅(上海出張)

   明日は北京オリンピックの開会式、タイミングの悪いときに上海にやってきた。さぞかし通関が大変なことだろう。ところがすんなり入国できた。今までで一番手続きが早かった気がする。第2ターミナルがオープンしたばかりなので空港がガラガラだったのだ。第1ターミナルに比べてデザインも施工もかなり良い。

 バスで浦西(プーシー)の街中へ向かった。うとうとしながら外の景色を眺めていると中国一ノッポの金茂(ジンマオ)ビルの隣にそれ追い抜く高さの上海環球金融中心(森ビル)が新しく建っていた。「栓抜きビル」の通称通りの外観だが、その栓抜きの穴は四角い。もともと丸い穴のデザインだったが、日の丸を想起させるということで四角に変更された経緯がある。雑誌などで掲載されていたパースの通り正面はきれいなファサードだったが、横から見るとかなりプロポーションが悪い。とはいっても、日建設計がデザインしたビルも3棟ほども含めて浦東(プードン)地区の高層ビルでは金茂ビルと森ビルが圧倒的な存在感を示している。Dscn0462

金茂ビルの地上88階420mに対して森ビルは地上101階492m。台湾の台北101に続いて世界で2番目の高さを誇る。ただし、それを上回る高さのビルが現在世界で3棟建設中である。中でもドバイで建設中のブルジュ・ドバイは地上162階818mと他を圧倒している。バブル経済時には高さ競争をするものらしい。1920年代のクライスラービルとエンパイヤーステートビルの高さ競争に引き続き、現在は中国やドバイのバブル地でを高さ競争が繰り広げられている。

 ホテルチェックイン後は地元のゴチャゴチャした雰囲気を味わいたいと思い、昔の記憶を頼りに街歩きを始めた。南京東路から南へ向かい、淮海(フアイハイ)路と復興(フーシン)路の間を西へ適当に歩いた。

 思った通り里弄(リーロン)住宅があちこちに見られる。里弄(リーロン)とは路地、または路地でつながる地区全体のことを指す。里弄住宅は1920年代当時租界内に大量流入した中国人のために西欧人が江南地方の伝統的な住居を都市型に改良してつくった連続住宅。屋根窓が特徴的でどこかかわいらしいファサード(立面)。生活の香りがプンプンする里弄(リーロン)はとても魅力的だが、中へ入って行く勇気が無い。今回は表の通りから覗いて写真を一枚撮るに止めた。海外の町を旅行していると感じることだが、この「生活の香り」というのは非常に重要だ。いくら美しい建築物が並んでいても生活の香りがしない町は魅力に欠ける。人間は結局人間の活動に興味があるのだろう。この生活の香りを代表するのが洗濯物だ。妻によるとアジアでもヨーロッパでも魅力的な町には洗濯物が表に溢れているという。日本ではベランダに布団を干すことすら禁止するマンションが多いが、いかがなものだろう。建築家岸和郎氏によると都市は「水平の秩序と垂直の欲望」で説明することができるという。そして香港の街の魅力を道路に飛び出た看板にあるという。これは通常垂直に伸びるはずの欲望が町の秩序を司る道路にまではみ出しているのだ。この公と私が混ざったあいまいな空間が都市に魅力を付加している。洗濯物に代表される生活の香りが溢れるこの里弄(リーロン)の魅力も同じことなのだろう。

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 歩いていると、竹の足場がかかった区域や、新しく外装し直された里弄住宅を見かけた。無考慮にペンキを塗りたくり、安物タイルを貼り付け、趣きが無くなってしまっていたが、急激な開発の波に飲み込まれて里弄住宅が消えていくことへの反省なのだろう。質の良い改修工事もそのうち現れてくると信じている

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