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2009年1月

お茶買い(シンセン訪問)

  シンセン訪問2日目、午前中にまず、お茶を買いに出かけた。これも今回のシンセン訪問の目的の一つ。妻に「ここでお茶を買ってきて」とお店の名刺も持たされている。家で飲んでいるウーロン茶がほぼ無くなってしまった。我が家では主に中国で買ったウーロン茶と日本の緑茶を飲んでいる。中国の杭州(ハンジョー)辺りを旅行中に有名な緑茶の西湖龍井(シーフーロンジン)を飲んだが、緑茶は日本のものの方がおいしい気がする。シンセンに住んでいた頃に妻がいつも買っていた羅湖(ルォフー)の三島中心にあるお茶屋さんへ向かった。僕も1,2度妻と共に来たことがある。3階のエスカレーターを昇ったすぐ正面にある「福建武夷山百岩茶廠」というお店。

 始めは若い女性2人しかいなかったが、しばらくして以前会った店の女性オーナーがやってきた。本当かどうか怪しいが、僕ら夫婦のことも覚えていると言う。お茶について教えてもらいつつ、試飲しながら世間話をする。息子が今大阪に留学中らしい。「会計と経済ならどちらの勉強をするのが良いと思うか?」「本当は理系の方が食いっぱぐれがなくて良いのだが・・・。」「娘も日本へ行きたいと言い出しているが、その価値があるか今見極め中。」「父親は娘の日本行きに反対している。」などなど万国共通親の悩みを漏らしていた。子供2人を留学させられるとは結構儲かっているようだ。

 お茶についても色々教えてもらった。烏龍茶の収穫時期は年に2回春と秋で、今出ているものは去年の秋に採れたものだそうだ。お茶を飲むときは、すぐに飲み込んでしまうのではなく、口の中全体に一秒含ませてから喉を通すと良いらしい。大紅袍(ダーホンパオ)という武夷岩茶の一種を薦められて試飲してみた。ちょっとくせのある味だが悪くない。“覇気(バーチー)”という表現をしていたが、このお茶を飲んだ後には他のお茶が飲めなくなるという。大紅袍は生産量が少ない貴重なお茶で、歴代皇帝に献上されていたようだ。他の予定もあり、早く切り上げるつもりだったのだが、結局2時間ほどもお茶をすすっていたことになる。

 観音王(グァンインワン、高級鉄観音)を6斤(3kg)と大紅袍(ダーホンパオ)を2斤(1kg)、どっさり買った。紫砂壷(ズーシャーフー)に注いでから飲んだ方がおいしいと、紫砂壷の急須を一つと更にグレードの高い観音王を少しおまけしてくれた。「この観音王と大紅袍は貴重だから他人にあげずに自分たちで飲みなさい」と言われた。ちょっと買い過ぎかもしれない。持ち帰るのが相当大変だ。

 「本当は○○元する良いお茶だが、○○元にしておくよ。」とオーナーの言うままの値段で買った。最終的な値段は他の店より多少高いかもしれないが、ここではとんでもない値段をふっかけてくることがない。そのせいか日本人や韓国人の客も多い。中国の街中でものを買うときは、僕も基本的には頑張って値切る。ただ、値段交渉するのはやはり面倒。値切るというのは何はともあれ、相手を疑ってかかること。値段もそうだが、中身が本物かどうかについても常に疑うより、信じる方が幸せだと最近考えるようになってきた。それにはまず、信じる店や相手を見つけなければならないのだが・・・。

 午後はかつて一緒に仕事をした地元設計事務所のCさんを訪問した。彼らの事務所は今回の金融危機の影響が少なく、いまだ多くのプロジェクトをこなしているようだ。ただ、来年以降の先は全く見えないと言う。「これを機にもう少し落ち着いてものづくりができるようになれば良いのだが」とも洩らしていた。しかしながら、住宅の仕事を主に手がけていた設計事務所の打撃は大きく、所員が去年の半分とか2/3になったところが多くあるらしい。

 夕方にN家に戻って一休みした後、テニス仲間のH子さんが合流して皆で食事に出かけた。スープのおいしい店に行きたいという僕の希望で、チェーン店の民間瓦缶煨湯館で食事をした。広東料理のスープはやっぱりおいしい。シンセンにいた頃も民間瓦缶煨湯館のようにスープを売りにしているお店に入って失敗したことがない。食後は同じくテニス仲間のS氏が仕事帰りに来てくれ、昨日に引き続きS氏を交えて夜中までおしゃべりをした。

トリヤ(シンセン訪問)

 1年ぶりくらいにシンセンにやってきた。

 久しぶりなので一番楽な方法、香港から直接シンセンの蛇口(Shekou)にフェリーで入った。ターミナルに着くと目の前に中集集団(CIMC)のカーテンウォールビルが現れる。これは7、8年前に新日鐵に勤めていた頃に設計及び現場監理を担当したプロジェクトだ。とてもきれいに使ってくれているので嬉しい。中国の多くの建物は数年経つと、築20-30年かと思うほど古びてしまうものが多い中、このビルは例外といって良い。ただ、見る度に外壁の曲面の1箇所がスムーズに連続していないのと、頂部のデザインのまずさが気になる。設計者として反省している。

 とりあえず、N氏に電話してみる。シンセンに遊びに来るときはいつもN家に居候させてもらっている。シンセンに住んでいた頃、僕を含めて大勢にテニスをゼロから教えてくれた奇特なひと。テニスだけでなく彼のおかげでシンセン生活を楽しく過ごすことができた日本人は数知れない。子供が生まれたばかりなので今回はどこかホテルを探さなければならないと思っていたが、幸い今回も泊めてくれた。

 夜はシンセンの事務所での以前の設計仲間K氏夫妻と会うことになっていた。僕の希望で福田区福中(Fuzhong)路の人材大廈(RencaiDasha)の向かい辺りにある「トリヤ」で食事した。本当の店の名前は覚えていないが、“香油鶏(Xiangyouji)”という鳥料理(一般的に “白切鶏”と呼ばれる料理に近い)がおいしいので僕らが勝手に「トリヤ」と呼んでいる。いつも大勢でにぎわっている地元の人気大衆料理屋。安くておいしい僕らにとっての居酒屋、仕事帰りに何度飲みに来たか知れない。数年前に半日デモが起こったときに中国人の酔っ払いにからまれたこともあった。

 まず、鳥と海老とお気に入りの青菜2品を注文した。具体的調理名は以下:香油鶏(Xiangyouji)、白灼蝦(Baizhuoxiaバイジュオシア、えびを湯がいたもの)、上湯豆苗(ShangtangDoumiaoシャンタンドウミァオ、辛くはないが見た目カイワレダイコンのような野菜)、芥蘭(Jielanジエラン、アブラナのようで歯ごたえのある野菜)。やっぱりココのトリはうまい。にんにくとよくからまった鳥を添えてある香菜(Xiangcaiシァンツァイ)と一緒に食べるとまた格別。今回シンセンに来た目的の一つ、ココのトリを食べること、を果たした。

 四川省(しせんしょう)の成都(せいと)のプロジェクトが途中でストップし、K氏もこの春節後に帰国するらしい。需要の多い中国といえども、建築プロジェクトは実際に建物が建つところまでこぎつけるが難しい。

K氏の奥さんのMさんが白酒(バイジョウ)を飲みたそうにしているので、最後に皖酒王(ワンジョウワン)を注文した。皖酒王は安徽省(あんきしょう)の白酒、手ごろな値段でおいしい。僕らはいつも32度の低い度数のものを飲む。通常白酒は50度前後のお酒だが、50度までいくと味が全くわからない。ただ、ほとんどの日本人は白酒をあまり好んで飲まないらしい・・・。気持ちよくなったところで彼らと別れてN家へと帰る。N家へ着くと、いつものように奥さんのWちゃんに怒られながらN氏と夜中までおしゃべりをした。

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