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2012年5月

居酒屋で展示会

昨日、いいことを思いついた。

居酒屋の場所を昼間借りて展示会を開催しよう!僕と同じように個人で設計事務所をやっている仲間何人かで集まってやるのだ。最近改装工事の設計をやらせてもらった「とりのすけ今出川店」のオーナーが河原町三条にもお店を持っている。人通りが多く場所がいい。

思い立ったが吉日、本日夕方お店を見に出かけた。座敷に上がる鴨居を利用してパネル展示ができそうだ。各人A1横使いのパネル設置を想定すると6人分のスペースがとれる。規模的にもちょうど良さそう。雰囲気も悪くない。ただちょっと暗いかもしれないが、問題ない。居酒屋スペースで展示会をやるなんて非日常で面白い!想像してワクワクしてきた。

お店のオーナーとはテニス仲間で、ちょうど今夜は練習日。相談してみると快くOKしてくれた。

さあ、イベントだ!明日さっそく知り合いの建築家に声かけよう。

パイプオルガンコンサート

京都コンサートホールへパイプオルガンコンサートを聴きに出かけた。フロラン・ガリエールという2011年9月より札幌コンサートホール専属のフランス人オルガニストの演奏会。

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札幌コンサートホールに勤めている友人より案内をもらい、入場料も1000円と安かったのでふらっと行ってみた。実はパイプオルガンの演奏を聴くのは今回が初めて。全身で振動を感じ、とても気持ちよかった。後半は少し眠くなったと思ったらP.E.C.コシュローの「子守歌」という曲だった。

音色だけでなく見た目もパイプオルガンはなんて美しいのだろう。しばらく見とれていた。ただ、演奏中はどこを見ていれば良いのだろう。「鳴っているパイプがLEDか何かで光るしくみにでもすればいいのに」なんて考えていた。

説明によるとパイプオルガンはドイツのヨハネスクライス社製で、パイプが全部で7155本もあり、音色を操作するストップ(音栓)と呼ばれるものが90もある。鍵盤は手と足の両方にあり、タップを踏むように演奏していた。

京都コンサートホールは、1995年に竣工し、設計者は磯崎新アトリエ。音響設計は永田音響。エントランスホールからホワイエへと続くスロープが好きだ。床のだまし絵のようなパターンも面白い。演奏会に向けて気持ちを盛り上げる時間をつくってくれる。池とレストランの関係もいい。

大ホールは総席数1833席の伝統的シューボックス型のクラシック専用ホール。残響時間は2.0秒(満席時)。パイプオルガンが左右非対称に配置されていることや、音の拡散を狙った天井のランダムな突起が特徴的。

磯崎新アトリエにて中国のシンセン文化中心(コンサートホール&図書館)の現場監理をしていたとき、音響設計小口さんと仕事をしていた頃を思い出す。京都コンサートホールも小口さんが担当されていたと思う。パイプオルガンは確かオーストリア製。

なかなか良い週末を過ごすことができた。近所にこんな本格的な音楽ホールがあるのにもっと利用しなくては。

プロジェクトが飛んだワケ

プロジェクトが1つ飛んだ、ショーック!

クライアントが工場建設のために検討していた土地購入を断念した。クライアントの判断は賢明だ。しかし、その理由がつらい。

それは、そのエリアの将来開発構想による。現在その場所に工場建設することには何の問題もない。用途地域は工業専用地域、つまり、工場のための敷地だ。しかし、港湾計画で交流厚生用地として将来臨港地区に指定する予定とのこと。指定されると用途規制がかかり工場建設ができなくなる。

港湾局と話をしたところ、「臨港地区指定するという予定がある土地だが、現在はまだ地区指定していないので行政側として何の規制もかける権限はない。」「いつ指定するかのタイムスケジュールもない」とのこと。行政は何の結論も言わない。責任回避の言説としか僕には感じられない。つまり、「今は工場作ってもいいが、将来は工場操業してはいけない地域に指定するかもしれませんよ!」ということだ。

土地の売主企業に行政と協議してもらうようにお願いしたが、事態は変わらず。原則港湾計画については10年に一度見直しをかける。このエリアに関して、年1回開催される港湾審議会の議題にあがるのは3年後くらいとのこと。1民間企業のために審議会を開くなんてことはできないということのようだ。

そんなリスクを冒して設備投資できる企業がどこにあるのだろうか。

ちなみに、道路を挟んだ向かいの敷地は元々の港湾計画では住宅開発用地だったが、大企業の工場進出計画に伴い港湾審議会で計画が変更され、現在は大規模工場が操業されている。このエリア一帯の当初の将来構想と180度変わった現在がある。「今さら、“交流厚生用地として臨港地区指定する”なんて現実的ではないんじゃない」というのが関係者の見方だが、売主企業としても「このあいまいな状態ではちょっと土地は売れない」と諦めている。

売主企業側も「それなら、行政側で土地を引き取って下さいよ」と迫るが、「それは、ちょっと・・・」そこは逃げる。売主企業は土地の固定資産税を払い続けている。

行政の役割って何だろう?

行政が本気でまちづくり(地区計画)を考えているとはとても思えない。この場所は○○用地、こっちは××用地、・・・と色分けすることが都市計画ではないと思うのだが・・・。

そんなことより仕事がなくなってしまった!! さーてうちの事務所どうしましょ?

喜音寺/岸和郎+K.ASSOCIATES

岸和郎+K.ASSOCIATES(http://k-associates.com/)設計による喜音寺を見学させて頂いた。設計段階にパースを見て、以前から「完成したら見学させて下さい」とK.ASSOCIATESの方にお願いしていたのが実現した。

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RC構造に木造HPシェルの屋根を乗せた形状。軒が深く現代建築でありながら和の伝統を感じさせる建築だ。お寺にふさわしく凛とした美しさを備えている。妥協のないディテールがその美しさを支えている。掃除のため池の水が抜かれていたのがちょっと残念。頭の中で水盤に浮いた様子を思い浮かべた。更に素晴らしいことだろう。

HPシェルの屋根は北側に開いており、仏様の背後からスライスした石を透過した光が入ってくる。劇的な内部空間。大屋根の中央部分と周囲での天井高さの違いによるメリハリがまたいい。畳に正座して低い視線で前庭を眺めるととても心地よい。また、絶妙なところに中庭を覗く横長の窓が空いている。

やっぱり僕は岸和郎さんの建築が好きだ。

よい建築を見て、ちょっと背筋が伸びる思いがした。

ご住職さん、K.ASSOCIATESの宮崎さん、小坂田さん、ありがとうございました。

居酒屋の看板デザイン

本日、店舗の改装設計を手がけた“とりのすけ今出川店”の看板作り替えを行った。スタッフの西村君と2人でほとんど学祭のノリでの作業。

先週から今週にかけてデザインしたものを昨日オーナーに確認してもらった。

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どちらが良いかオーナーに選んでもらおうと2案作成したが、看板の表と裏にそれぞれ貼ることになった。我々の専門ではないが、「情報を分析整理し、全体構成の美しさを追及しつつ機能(この場合は情報を伝える)を満足させる」という点は、建築設計とも共通性があると思う。もともと興味もあり、最近グラフィックデザインやタイポグラフィの本を読んで少し勉強している。

同じビル内に他に居酒屋が2店舗入っている。‘白木屋’と‘鳥貴族’だ。店舗の内装設計でもそうだが、看板デザインにおいてもこの2つのお店を意識した。つまり、“とりのすけ”らしさを全面に出し、他の店舗との差異を強調すること。オーナーの言葉を借りるならば「アナログ感を大事にする」ことだ。「とりのすけ」もティーネット㈱が展開する炭火やきとり居酒屋のチェーン店だが、他の2店舗と比較すると全店舗の一律度合が低く手作り感が残っている。炭火によるやきとりの美味しさ、メニューの種類の多さといったことも特徴。色合い、掲載情報といったものも他店舗の看板と異なった雰囲気になるように意図した。この看板は店が入るビルの1階に設置される。「掲載すべき情報」「掲載する必要のない情報」「強調すべき情報」をその設置場所及び他店舗との比較を考慮しつつ整理した。

さーて効果はどんなものだろうか。

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