« 2012年7月 | トップページ | 2012年9月 »

2012年8月

居酒屋展示会 その3 チラシ

居酒屋展示会のチラシが完成しました。出展者の一人である有馬浩一さんが作成してくれました。

120827
表題は「京都の建築屋四人展」です。個人で建築の設計活動をしている4人の共同展なので単純に「四人展」としました。ただ「建築四人展」ではなく「建築四人展」としたところがミソ。自分のことを「建築家」と呼ぶのはなんかまだおこがましい気がするのと、建築家というより建築屋の方が親しみやすいかなと思ってこうしました。堅苦しい展示会ではないので気楽に立ち寄って頂けるとありがたいです。もちろん無料です。

名前の背景写真は各出展者が自分の趣味で選んだものです。ちなみに僕のは、中国の水郷都市を巡って旅行したときの写真です。西塘(シータン)という村で「ミッション・インポシブル3」のロケに使われたところです。適度に観光地化が進んだ良いところでした。川沿いの食堂で食べたかぼちゃ料理の味が忘れられません。

展示会は9月29日(土)、30(日)の2日間10時~16時です。場所は河原町三条を西に入ってアーケード内の左手3軒目「とりのすけ」です。私は29(土)の午後ずっと会場にいます。お近くの方は是非お越しください。

宵弘法、嵯峨の送り火

夕方、四条大宮から嵐電に乗って嵯峨駅で下車。てくてく北へ20分ほど歩いて大覚寺に到着。宵弘法を見にやってきた。

宵弘法とは、弘法大師の除災招福を祈念して毎年8月20日に行われる万灯会の法会。

祭壇が組まれた大沢池には沢山の灯篭が浮かんでいる。一面蓮の花で覆われた池を眺めると、なんだか現生の景色でない気がしてくる。

Img_0206

お寺の方へ戻り、ちょっとお参りをして回廊を歩く。回廊や渡り廊下を見ると歩いてみたくなってしょうがないのだが、ここでは全体をぐるぐる廻ることができる。雁行した面白い景色が次々と展開する。楽しい!こんなに自由に巡ることができる所は少ない気がする。穴場かもしれない。

Img_0210 Img_0215
大沢池に戻って送り火を待つ。結構待ちくたびれた。8時少し前にやっと大勢の僧侶たちが祭壇にやってきた。しばらくお経を唱えた後、祭壇から火をとった松明がゆっくり船で湖面に祀られた山へ向かう。点火の演出がカッコイイ!まるでオリンピックの聖火のよう。点火された山の炎がどんどん大きくなる。「火を見るとなんでワクワクするのだろう?」炎を飽きずに眺め続けた。

Img_0222 Img_0226 Img_0232 Img_0243
かなり面白いイベントだが、観光客らしい姿はあまり見られない。むしろ地域の夏祭りといった趣。来年もまた来たいと思う。「京都に住んでいて良かった」なんて思いながら元来た道を歩いて帰途へ向かう。

Img_0266









五条坂 陶器まつり

毎年8月7日~10日に京都の五条坂にて陶器まつりが開催される。もともとは大正初期に六道まいりの人々に二級品を売り出したのが始まり。約400店の出店があり、たぶん市価の半値くらいで購入することができる。http://www.toukimaturi.gr.jp/index.html

Toki01

ここ三年毎年足を運んでいる。南側の通りは個人の作家さん自身が出すお店が多い。つくっている人の顔と作品を見比べるという別の楽しみ方もある。不思議と並べられた作品が作家さんの顔に似ているのだ。今年は中くらいの大きさのお椀を1つ購入した。

Toki03

京都生まれで滋賀に工房を持つ河合正光さんという陶芸家の白磁。白磁とは白い素地(磁土)に透明の釉薬をかけ、高温で焼き上げたもの。実は毎年河合正光さんの磁器を少しずつ買っている。繊細だが、自然で美しいフォルムに魅かれる。また、手に持ったときも軽くて心地よい。

団地再生

僕は団地で生まれ育った。子供の頃は戸建住宅に憧れた。大人になって振り返ると、広い芝生、公園やグランド、とても恵まれた環境がそこにあったことに気づく。

1955年に日本住宅公団が設立され、1960年代から70年代にかけて団地建設が活発化し、現在では約700万戸の団地住宅があるといわれる。その団地の多くで建物の老朽化と居住者の高齢化が進み、社会問題ともなっている。僕の生まれ育った団地でも、建て替え問題について7年以上に渡って議論し続けて結論に至っていないようだ。「建物」をどうするかという単純な議論ではうまく行かないのだろう。「地域をどう組み直すか」を議論しなければならないのだと思う。

そこで、建築家の山本理顕さんが唱える“地域社会圏”という概念がとても参考になる。

Chiikishakaiken

1.「地域社会圏」では「一住宅=一家族」という生活モデルを前提としない。

2.「地域社会圏」は、プライバシーとセキュリティを住宅の中心原理とするのではなく、そこに住む人たち全体の相互関係を中心原理とする。

3.「地域社会圏」は周辺環境とともに計画される。

4.「地域社会圏」は単なる消費単位ではなく、その地域の内側で小さな経済圏が成り立つように計画する。

5.「地域社会圏」はここでエネルギーを生産し、それを効率よく利用する。単なる消費単位ではない。

6.「地域社会圏」では“公共交通か自家用車か”ではなくその中間的な交通インフラを持つ。

7.「地域社会圏」では崩壊しつつある社会保険制度を補うような全体の相互扶助を考える。

8.「地域社会圏」は賃貸を原則とする。日本が行ってきた持家政策を否定する。

9.「地域社会圏」では専有面積は60%程度、専有と共用の面積比を変える。

10.「地域社会圏」の住まいは外に向かって開かれた場所が用意されている。

 僕は特に4.「小さな経済圏が成り立つように計画する」というのが重要だと考えている。つまり団地内のあちこちで商業活動が行われていること。パン屋、カフェ、床屋、保険代理店、レンタルショップ、花屋、大工店、塾、鞄屋、整骨院、事務所・・・・小規模であれば何でもいい。もっと言えば、住人が各々小さな商売をやればいい。大切なのは、団地の横にまとめて商業エリアをつくるのではなく、団地の中全体に店舗やオフィスなどが散在すること。例えば、住棟の一階部分に多くの店が並んでいる光景なんて素晴らしい。

そもそも近代都市計画のゾーニングという考え方が都市をダメにした大きな要因の1つ。ゾーニングというのは各地域を用途ごと区分すること。つまり、住宅は住宅ばかり、商業は商業ばかり、工場は工場ばかり、それぞれあるエリアに固めてしまうのだ。これにより街の活気は失われ、治安も悪くなった。このことは、1961年に名著『アメリカ大都市の死と生』の中でジェイン・ジェイコブズが指摘している。驚くべきことは、50年以上経過した今日、いまだにその指摘を活かそうとしないこと。

また、団地再生では建物よりむしろ外部空間をどうするかが重要だと思っている。建物はスケルトンにしてしまい、「あとは住む人が自由に設えればいいのでは?」と思ってしまう。団地の大きな魅力の1つは、大きな隣棟間隔(住棟と住棟との距離)とそこに広がる豊かな緑。しかし、多くの団地ではきれいな芝生が誰にも使われない場所になってしまっている。子供が減ってしまったせいだろう。僕が子供の頃はよく芝生で遊んだ。国立公園ではないのだからせっかくの場所がもったいない。外部空間が利用される工夫をすべきだと思う。屋外で人々が活動すれば、活気のある魅力的地域になるし、治安も良くなる。

小さな区画をつくって住人に安く貸出してはどうだろう。ガーデニングするもよし、家庭菜園するもよし、作業場とするもよし、ガレージセールするもよし、カフェ営業するもよし。少なくともその場所のメンテナンス費用が不要になる。

どちらにしても建替えによって、どこにでもあるマンションが建つことが一番残念な結果だ。戸建住宅には戸建て住宅の良さがあり、マンションにはマンションの良さがあるように、団地には団地の良さがある。豊かな屋外環境は当然として、画一的な建物といったことも長所の1つかも知れない。良いところをなるべく多く見つけ出し、それをどう活かすかということで計画が進むといい。また、“風景の記憶”といったことも大事にしたい。

 

« 2012年7月 | トップページ | 2012年9月 »