光明院 波心庭
連休最終日に東福寺の塔頭のひとつ光明院を訪れた。重森三玲による「波心庭」を見るためだ。苔と白砂に沢山の石が突き刺さる珍しい風景が広がる。写真からは石がごちゃごちゃし過ぎて今一つかもしれないと心配していたが、意外と落ち着く。他の観光客が少なかったせいもあるかもしれない。立体的な苔のうねりが、躍動感があって奥行を感じさせる景色をつくりだす。部屋の中から眺めるとより印象的だ。
三尊石を三ヶ所に配置し、そこから寺号にちなむ光明の線が四方に延びて、その線上にたくさんの石を並べるという構成。白砂は海、苔は州浜を表すという。打ちつける波のしぶきを表現したという苔に小石を点在させた意匠もにくい。ちょうど背後のサツキが咲いて少し華やか。このサツキとツツジの刈込みがよりモダンな印象をつくりだす気がする。
「波心庭」の名は禅語、「無雲生嶺上 有月落波心(雲の嶺上に生ずる無くんば、月の波心に落つる有り)」にちなんでいる。「雲が山の山上に生じなかったら、月の光は常に波に映じて美しいでしょう」 雲は煩悩と、月の光はさとりの光を指しているという。
建築名:光明院(こうみょういん)
作庭年:1939年
所在地:京都市東山区本町15丁目809
志納:300円程度
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