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2017年11月

法界寺阿弥陀堂

門に近づくと、左奥に木々で半分隠れた檜皮葺屋根の趣のある建物がそっと現れる。宝形造に裳階がついた堂々とした姿が存在感を示す。吹き放たれた裳階の列柱が更に目に心地よい。

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法界寺は足利義政の妻日野富子で知られる日野氏の菩提寺。1051年日野資業(すけなり)が薬師堂を建立したのが始まり。開山は最澄でもとは天台宗だったが、現在は真言宗醍醐派の別格本山。親鸞聖人誕生の地としても知られる。1221年、承久の乱で堂宇の大半を失い、現在の阿弥陀堂は1226年頃、唱導僧・聖覚(しょうかく)により再建されたものとされる。平等院鳳凰堂の本尊と同じ仏師・定朝(じょうちょう)による阿弥陀像が焼失を免れたと伝わる。

堂内に入ると、大空間の中心に四天柱に囲まれた須弥壇に安置された大きな阿弥陀如来坐像の迫力に圧倒される。来迎壁がなく仏像を四周からゆっくり眺めることができる。お顔は幼子のようだが、光背と天蓋の彫り物のせいか荘厳な雰囲気をもつ。四天柱や長押上の小壁の内外には曼荼羅の諸尊や飛天の色褪せた絵で埋め尽くされている。当時の信仰の篤さや時の流れを感じさせる。四天柱と側柱をつなぐ虹梁などは一切なく、四周の壁から中心に向かって化粧垂木でつながる天井面が遮るものなく目に入る。求心性と上昇感を高めている。個人的には天井がもっと高い位置にあって、須弥壇空間がより独立するとバランスが良いように思う。

宝形プランといえば、重源(ちょうげん)の建てた浄土寺浄土堂が思い浮かぶ。浄土寺浄土堂はシンプルでモダンな外観に対して、内部空間は朱色の虹梁が四方に飛ぶ複雑な印象を与える。これに対して法界寺阿弥陀堂はちょうど逆。外部は檜皮葺屋根に裳階や吹き放し列柱を備えたいかにも古建築だが、内部空間はシンプルでモダンな印象。

阿弥陀堂、阿弥陀如来坐像ともに国宝だが、観光客もまばらで静かでひっそりとした寺院。

 

建築名:法界寺阿弥陀堂

竣工年:1226

所在地:京都市伏見区日野西大道町19

拝観料:500

参照文献:法界寺パンフレット、日本建築の形Ⅰ/斎藤裕、Yahooコトバンク

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