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2018年6月

正倉院

 想像していたより大きく圧倒的な存在感を発する建築物。直系60㎝の束柱40本で持ち上げられた高床式倉庫で、間口33m、奥行9.4m、総高14m、床下2.7m。北倉、中倉、南倉の3つの倉庫で構成され、本瓦葺き寄棟造の屋根で覆われた堂々たる姿をしている。軒の出は4mほどある。北倉と南倉は、三角材(校木)を井桁に組み上げた校倉造りで、中倉は正面と背面に厚い板をはめた板倉造り。見ることはできないが、内部は2階になっている。束柱の上に渡された台輪が1.8m外へ張り出しており、特徴的な意匠をつくっている。柱に巻いた鉄帯や、台輪の端部にかぶせた銅板は、後世の修理時に加えられたもの。

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 正倉院は1200年以上にわたって東大寺ゆかりの宝物を保管してきた。端正で力強い外観から、“宝物を保管する”ということだけをひたすら考えた当時の人たちの思いを感じる。迷いがない。この建物には地面から扉へアクセスする階段すら存在しない。

 平日の10時から15時まで無料で一般公開している。少し離れた正面からだけしか見ることができないのがちょっと残念。

建築名:正倉院正倉

竣工年:8世紀(奈良時代)

所在地:奈良県奈良市

拝観料:無料

参照文献:正倉院パンフレット、日本建築の形Ⅰ/斎藤裕

庫裏内住宅のリノベーション

 201712月に竣工した庫裏内住宅のリノベーションについて説明したいと思う。

 築40-50年のお寺の庫裏内に以前改装して設けたLDK及び玄関スペースを再度改装して快適な生活空間に生まれ変わらせるというもの。解決すべき問題点は以下3点。①暗い ②寒い ③モノが溢れる。

 ①は唯一の採光面である北側隣地境界の塀が迫っていることが原因。これに対してはハイサイドライト(高窓)を設けて上部からの採光を確保した。また塀を白く塗装することにより反射光を室内に取り入れる工夫もしている。②は古い木造建物に共通の断熱性と気密性の不足による。そもそもこの建物は庫裏なので玄関エリアには煙出しが設けられており、直接外気と繋がっている。このおかげで夏場は涼しく過ごすことができるが、冬場はかなり寒い。そこで冬場暖かく過ごせる場所をLDKに絞ることにした。LDKの床、壁、天井に断熱材を充填し、窓ガラスは全て複層とした。木製扉にも断熱材を充填している。また、断熱性能に優れたポリカーボネートで間仕切壁を構成することにより玄関エリアへの採光も同時に確保している。③については御施主様にモノの整理をしてもらうことが前提だが、収納できるスペースをあちらこちらに設けている。玄関倉庫と下足入れの他、収納棚板設置箇所が6ヶ所。更にキッチン背面収納、吊戸棚、床下収納を設けている。

 その他デッキを敷くことにより狭い屋外隙間空間を積極的に生活にとりいれる工夫をしている。このデッキスペースが将来子どもの遊び場になることも期待している。ちょっとした遊び心で、御施主さんが飼育されている熱帯魚がきれいに見えるように水槽に合わせて大工さんに枠を作ってもらったりもした。

 工務店さんもいい仕事をしてくれ、お施主さんご家族にも喜んで頂き、楽しく仕事をすることができた。

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http://www.office-nagasaki.com/ja/works/c0/22/1

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